プサン2日目

3月18日(水)曇り

 9時に起床する。身支度を整えてからネットでニュースを読む。特に変わったことなしか。
 9時50分にホテルを出て朝食を食べに。地下鉄1日パスを購入し、まずはチャガルタへ。釜山は港町でも知られていて、港町を感じるチャガルチ地区当然のように海産物も豊富。その中にある食堂に行けば美味しい物にありつけるだろうと思って向かった(一応この店に行こうかな、という目星は付けていたが)。チャガルチ市場周辺は海産物を取り扱う店が本当に多い。どこも新鮮な魚たちが溢れかえっている。また活気もいい。楽しい気分になる。
 でチャガルチ市場というこの辺りのランドマーク的存在に着く。ここを見学してから食事にしようかな、と考えていた所、案内所のおばあさんが私に声をかけてきた。日本語の出来る方で、魚やキムチ、ご飯が食べ放題で4千ウォンのお店を紹介しますよ、と。建物の中だし、面白そう。何よりこのおばあさんは嘘はつかないだろうと思って案内してもらう。3階の奥の方にある食堂はあまり観光客はあまり来なくて、市場関係者が食べに来そうな匂いがする。いいんじゃない。店の中に入る。セルフサービスのこの店はキムチやカクテキ他にもイカの辛いのやチャプチュ、味噌汁に似たスープ等が食べ放題。もちろんご飯も。キムチ等がご飯との愛称が抜群で、飯が進む進む。本当に美味しい。これで4千ウォンは本当に安い。ただ魚は焼き魚がこの日は1種類だったのが残念。でもまた釜山に来た時には訪れたい。市場関係者もいて、活気ある食堂だと感じられた。
 階段を下りて2階部分を見学。ここではその場で魚などをその場で捌いてくれる店が多く、複数人で来た時はここでの食事もありかな、思ってもみたり。また1階部分には海産物を取り扱う店ばかりで、日本でサジク野球場の外観見る魚や貝なども見られて、こっちではどのようにして食べるのか気になった。お刺身もあるようだが、釜山流の調理を見てみたい。
 さて、財布のお金が減ってきた。補給をしておこうと銀行を探す。がなかなか見つからず。ようやく見つけた銀行のATMでお金を下ろそうとするもシーラス対応の機械がない。困った困った。と結局ホテルまで歩いてしまった。
 部屋に戻ってテレビを見るとワールドベースボールクラシック(WBC) の2次リーグ準決勝日本対韓国がちょうど始まるところだった。見たいのだが、この後すぐに出掛けないといけない。また出掛けたら戻りは深夜になるので浦項まで持っていく物を揃える。そして12時半にホテルを出る。先ほどは日本円を持っていなかったので換金できなかったのだが、今1万円持っているので。ウォンに換えよう。
 銀行に入り、係りの人に両替をしたいというと窓口に通された。でイスに座って横を見ると、大きな画面でWBCの日韓戦がやっている。見てしまう。するといきなりミスから日本が失点。窓口の女性と私、共に少し微妙な空気が流れる。う〜ん、こんな時に点を取られなくてもいいのに。
 銀行を後にし、地下鉄に乗ってサジクという所へ。ここには韓国の野球チーム・ロッテジャイアンツの本拠地であるサジク野球場がある。そして今日はオープン戦がある。是非とも見ておこうと向かったのだ。地下鉄の駅を出て最初の信号を右折すると、サジク野球場が見えてきた。結構大きいスタジアムなのかな、と。近くに見えるのに、なかなか着かない。ようやく到着すると、今日の試合、ロッテジャイアンツ対キアタイガーズはもう始まっていた。着くなりにキアの選手が2ランホームランを放つ。いきなりか! とりあえず空いている席に腰掛ける。
 座って改めてスタジアムを見る。思っていたより小さな球場だ。3万人収容というが、3万人も入るのかな。またこの日はロッテジャイアンツの選手バス3塁側しか開放をしていなかったのだが、この3塁側には応援団のステージがない。遠目から1塁側にはあるので、ここはビジターの応援団はほとんど来ないのだな、応援団を見たいなら早めに来て1塁側に陣取った方が良いと感じる。
 試合は5回裏にロッテがタイムリーヒット連発で一挙4点を取る。その後はどちらも点を取れずに行く。
 試合の攻守交替間に球場のビジョンでは日韓戦が流れる。ほう、こうやって放送するのか。で試合は・・・日本負けているねぇ。周りを見ていると目の前の試合より、ビジョンから流れる試合に一喜一憂している。いいのか? でも観客以外にも選手も気になるようで。試合を見ている。オイオイ・・・。
 サジク野球場が9回に入った時、日韓戦も9回裏に入っていた。観客はもちろんのこと、選手もビジョンに映像を見ている。おい審判、試合を進行しろ・・・ってあんたも試合を見入っているのか。 WBCは韓国リードのまま試合終了。球場では拍手が起こっていた。多分日本人は私1人のスタジアム。とても居心地が良くなかった。
 目の前のロッテ対キアもロッテがリードしたまま試合終了。
 さてちょっとスタジアムを見回ってみようか、と思うも、先ほど書いたとおり3塁側しか開放しておらず、1塁側には入れない。またグッズショップは工事中らしくサジク野球場開いていない。実はここでロッテジャイアンツグッズを買えると思ってワクワクしていたのだが、非常に残念な結果になってしまった。まぁ次に来る時の宿題にしておこう。
 サジク野球場を離れる。また地下鉄に乗って釜山の外れのバスターミナルに到着。ここで色々と迷ってしまい浦項行きのバスチケットや乗り場を探してしまう。案内板はハングルが中心だから、かなり敷居が高い。バスは韓国では当たり前の交通手段なのだが、でももう少し英語表記もつけて欲しい。浦項行きのバス乗り場を見つけてバスに乗り込む。さすがに16時50分に浦項へ向かう川崎サポーターはいなかった。そうだろう、みんな試合前から並んでいるだろうし。
 バスは高速道路を高速で走る。飛ばすねぇ、このバスは。速すぎる。どこかに止まるのかな、と思っていたが、どこも停車せず浦項の高速バスターミナルに到着。思っていたより早い到着だった。降りてから今度はタクシーを捜す。試合会場まではバスは走っていないらしく、また歩いて着く場所でもないそうだ。もっともここの地理を知らないのだから、歩くなんてもっての他なのだが。タクシーを捕まえて走る。試合会場の浦項スティールヤードは工業地帯の中にあるそうで、一昨年訪れた光陽のスタジアムと同じである(というか親会社が同じで、どちらもPOSCOという会社の敷地内にスタジアムがある)。約10分ぐらいでスタジアムに到着。そこから歩く。
 で着いた浦項スティールヤード、大きい。サッカー専用スタジアムだ浦項スティールヤード正面そうなのだが、立派な造りだ。まずチケットを購入し、その後グッズ売り場へ向かう。まず目に付いたのが浦項のレプリカユニフォーム。値段を聞くと・・・安い。この価格でちゃんとしたメーカーの物だったら買いでしょ、とアクセサリーと一緒に購入。考えてみたらウォン高だから余計に安く感じるわけである。そしてスタジアム入り口前にある屋台街を覗き、フライドチキンを購入。鶏肉にタレが味が付いていて美味しかったのだが、骨が多すぎて、食べるのに困った。
 メインスタンドのチケットを持って入場。アウェー側の川崎サポーターを眺められる、川崎ベンチ裏に陣取る。そのまま試合前の練習を見る。試合開始が近づいてきた頃、バックスタンドに異様な気配が。軍人さんである。軍人さん1人2人ではなく、大所帯で現れた。そのまま2階席のバックスタンドを独占。凄いのは誰1人応援するわけでもなく、背筋を伸ばして試合を見ている。楽しいのかな。もっと楽な状態で見せてあげればいいのに。
 19時30分、試合が始まる。川崎は前回の試合から大幅に選手を入れ替えてきた。システムも4−3−3から4−4−2っぽくなっている。
 試合は序盤浦項がチャンスを作るが決めきれず、時間が進むつれて今度は川崎が攻めだす。何本もシュートを放つがゴールには結びつかない。あと一歩なのだが。すると10分、浦項は右サイドを縦の突破で川崎DFラインを崩すと、ゴール前にいた選手にシュートを許し、ゴールを決められる。痛い失点である。川崎は再び攻めを開始し、ゴール目指して2階席からスタジアム内を眺める進むが、やはりゴールを割れない。が22分右CKから寺田が頭で合わせて同点。厳しいマークにあっていたが、よく決めた! その後も川崎は攻め込むも浦項のGKの動きがよく、何度も危ないシーンを止めていた。
 前半は1−1で終了。浦項はセットプレーと縦の突破に気を付けていれば押さえ込むことが出来そう。あと相手のミスを活かせれば。
 後半、川崎は浦項のパスをカット、パスミスのボールを奪ってチャンスを作る。が攻撃パターンが単調になったり、決定機を作れずで浦項DFに守られてシュートまでいけない。またジュニーニョの不調や全体のリズムが合わないのか、ボール回しもチグハグ。またレフリーの笛が不安定でイライラしているようにも見えた。とにかく攻めきれない。またペースも握りきれない。後半途中で黒津を入れて3トップ気味にしてみたりするも、なかなか良くならない。ただ守りは集中している。身体を張って守っていてゴールを許さない。
 川崎は攻撃の枚数を更に増やして攻め立てるが、結局最後の最後まで浦項を崩せないまま1−1のドロー。勝ち方、点の取り方を忘れてしまっているようだ。本来なら勝てるゲームだっただけに、悔しい試合になってしまった。
 日本から来たサポーターも多くいて、力のある応援をしていたが応えられなかったのも残念である。それにしてもあのレフリーは良くなかった。さすがは中東の笛である。アジアの審判のレベルは低いとよく言われるが、それを更に実感した。もっとしっかり笛吹いて! 選手が控え室に戻るのを見届けてから私もスタジアムから出る。勝てたゲームを落とした気分で、モヤモヤしたまま。
 スタジアムを離れ、大通りを目指して歩く。来た時はこの通りにタクシーは頻繁に走っていた。だからタクシー川崎フロンターレの応援席は来るだろうと想像していた。が現実はタクシーはあまり走っていない。しかも悪いことにタクシーに乗りたい人が大すぎる。これは困った。とにかくタクシーに乗ろうと、待っている人より先のところでタクシーを待つ。待つがなかなかタクシーは来ない。たまに来ても客を乗せている。いったい私は釜山まで帰れるのだろうかと色々不安になる。
 約10分後、客を乗せていないタクシーが走ってきた。私はオーバーアクションでタクシーを呼ぶ。その甲斐あってタクシーは止まってくれた。良かったぁ。高速バスターミナルまで行ってくれというが、発音が悪くなかなかわかってくれない。でも持っていたメモを見せるとわかったようだ。ホッと一安心。が次の瞬間、運転手はタクシー待ちの人を勝手に相乗りさせてしまった。オイ、と言おうと思ったが、お互いタクシー難民だったろうし、この人も同じバスターミナルに行くそうだから許すか。でタクシーはスタジアムを背にして走り出す。私は多分この町にはもう来ないだろうな、という気持ちがずっとあったので、サヨナラを告げる。 高速バスターミナルに到着。相乗りだから料金は半分だよな、と思っていると全額請求された。マジかよ。タクシー料金がまだ安いから許してしまう。それにこっちでのタクシーのルールを知らないし。
 釜山行きのチケットを購入。これで釜山に帰れるとホッとする。がそれもつかの間だった。釜山行きのバスをようやく見つけて乗ろうとすると、席は半分以上埋まっている。しかも川崎サポーターがほとんど。みんなこのバスで帰るのね。で席に座っていると、試合前の両チーム続々と乗り込んでくる。結局出発20分前に全席が埋まってしまった。満席のバス、それにもかかわらず乗り込もうとする韓国人、恐ろしや。
 バスは22時30分に浦項を出発するが、まだ乗り込めなかった人がいると思うと、あのタイミングでタクシーに乗れて良かった。でバスは行きと違う道を走っているような気がした。気のせいか。外は暗いからわからないだけかな、と思っていたら本当に違う道を走っていて、行きにはなかった中継地点に止まっていた。そこで降りる人はわずか、でも乗り込んでくる人がいる。立って釜山まで行くのか。ヴァイタリティがあるな、韓国人。
 バスの中で寝ていると、0時10分に釜山の高速バスターミナルに到着。さぁ着いた。まだ地下鉄は走っているかな、と駅へ急ぎ足で向かう。が残念ながら終電は終わっていた。実は別の駅で終電時間を見ていたので、逆算すると乗れそうにないのを感じていた。だから想定の範囲内であったのだが。 ではタクシーに乗りましょう、とタクシーを捜す。するとすぐに発見。良かったホテルに帰れるぞ。がこのタクシーの運転手がこの後私の怒りを買うことになるとは、その時は思ってもいなかった。
 ホテルの名前を告げるとわかったようなわからないような素振りを見せる。だからホテルから近い南浦洞に向かうように言う。で走り出そうとすると日本人で川崎サポーターの女性を相乗りさせようとしてきた。ノーと言いたかったが、日本人女性をこんな所で置き去りにするのは忍びない。それに同じ大型ビジョンに映る試合結果川崎サポーターじゃないか、と許す。
 タクシーは北のはずれから中心街へ向かって走る。この辺の地理はわからないし、暗いからどこを走っているのかわからない。でもとりあえず向かっていると信じる。すると、ホテルに近いにタクシーは走っていた。ここで下ろしてもらおうとするも、タクシーの運転手はホテルの前に行くから的な発言をしている。まぁいいか。がタクシーは反対側に走る。同乗の女性のホテルを先に着かせるようだ。ちょっとイラッとするもレディファーストだと言い聞かせる。で女性の泊まっているホテルに到着。料金は全額請求されて困惑する女性。私はそういうシステムらしいよとわかっていたけどあえて口を開かなかった。これで私の泊まるホテルである東横インに行くのかな、と思ったらまた違う道を走る。そして着いた先は女性を売っているキャバレーか何か。頭に来た、怒り心頭。私は早くホテルに帰りたいのに、この運転手は何している!てめぇふざけんな! 怒りをぶちまける。そして早くホテルに行くように命令(この時点で温厚な私はいなかった)。そしてホテルの反対側を通行中にイライラが限界、ここで降ろすように言う。運転手は、えっ? とした表情をしていたが、ふざけるな、ともう我慢できない。どこかで Uターンしようとしているのかもしれなかったのだが、もう許せなかった。お金を支払ってタクシーを降りる。これだから知らない地のタクシーは嫌いだ。
 イライラしながら道を歩き、セブンイレブンでビールを購入してからホテルに戻る。部屋に戻りようやくホッとできた。
 シャワーを浴び、ビールを飲みながらネットチェック。川崎の試合も当然ニュース配信されていた。残念会になってしまったのが本当に残念だ。今日は良いことがなかったなぁ。一人ぼやく。
 明日はそれなりに早い時間に起きないといけないのだが、結局3時に就寝。

 

プサン旅行記1 1日目へプサン旅行記1 3日目へ