香港2日目

4月5日(月)くもり

 7時起床。窓の外の空は曇っている。ちょっと残念。8時前に賽馬会徳華公園の写真を18階から見た街の風景撮るため外へ。公園では太極拳や音楽に合わせて踊っている人たちで一杯。中国の朝の風景にしばらく浸った後、香港島へ向かうため湾駅へ。地下鉄車内から外の風景を見ていると、葵芳駅前に元気寿司と吉野屋が同居しているビル、そして和民の看板を発見。香港日本化計画を実施した方が良いのだろうか?
 茘景駅で東涌線に乗り換える。湾線に乗っていても香港島の中環駅に着くのだが、まだ乗った事のない路線を味わってみたい「鉄心」に負けた。東涌線に乗り、車から見た事のある奥運駅、地下に入り九龍駅を通ると、海の下を走り終点香港駅に到着。あっけなく終わった…。ここから中環駅まで繋がっており、長い地下道をサクサクと歩く。
 中環駅近くでモーニング。出前一丁の麺の上にソーセージと甘く味付けされた牛肉が朝食。香港特有のモーニングは味はイマイチだが何故かあとを引く。何でだろう?文武が奉られているお寺
 香港名物の一つ、ヒルサイドエスカレータを見る。今の時間帯が下行きだったので、乗ることが出来ない、残念。エスカレータを横目に階段で上を目指す。ハリウッドロードでエスカレータとお別れ。西へ進路を変える。ハリウッドロードを歩いていると、映画とかで出てくる坂道の市場が。初めてなのに懐かしく感じ、足の向きを変更。坂を下りながら、映画と同じ風景に見とれる。
 ハリウッドロードに戻り、更に西へ行く。線香の臭いが漂ってくる。文武廟はすぐそこ。文武は文武の神のいる道教の寺。文は文昌帝、武は三国志の関羽を神格化した関帝が奉られている。かなり小さい建物である。天井には写真とかでよく見る渦巻き状の線香。一見蚊取り線香みたいだが。中に入り、日本の物より2倍以上の長さの線香を買う。道教の参拝方法で願いを唱える。日本語が通じるのかはわからないけど、お祈りをする。細牛肉飯セットです
 参拝後、近くのキャットストリートで馬の置物とバッチを購入。坂を下り上環駅近くでトラムに乗り込り、湾仔方向へ向かう。湾仔近くでオレンジの看板が見えた。急いで降りる。オレンジの看板とはもちろん吉野屋。香港では牛丼が売られているので食したかった。また店は日本とどう違うのかも、かねてから研究したかった事柄。突撃である。
 店は日本とは違いレジで注文し、テーブル席で食べるスタイル。マクドナルドを想像すればわかりやすいかな。メニューは単品販売はなく、ドリンク付きのセットだけである。鶏を使った丼もあったが、今回は牛丼並・キムチ・味噌汁のセットで。席に着き久々の吉牛にありつく。パクッ。う〜ん、何か違う。牛肉の歯ごたえが違う。もっと柔らかかったよなぁ。こんな味だったっけ? 釈然としないまま平らげる。これが今日の昼御飯になった。
 香港コンベンションセンター脇のベンチで海を見ながら休憩。空は曇っており、モヤった空気。海の向こうの風景がしっかり見えない。残念だ。でもここにいるだけで、幸せな気分になれる。今香港にいる嬉しい気持ちが幸せに変えているのだろうか。フェリー乗り場へ向かい、尖沙咀へ向け海を渡る。今回の旅最大の目的であるサッカー観戦赤が消防、青が南華をしに地下鉄で太子駅へ。
 久々の旺角大球場に試合開始15分前に到着。あいからわずスタンドはガランとしている。今日は2試合、消防対南華と傑志対馬流浪(以下流浪。ちなみに馬とはスイスの時計メーカーBULER)。南華は低迷中だが、元々は香港を代表するサッカークラブで一度見たかったクラブである。2試合目は現在3位4位の対決。3位傑志は残り試合数を考えると負けると優勝戦線から脱落する可能性もある、流浪からすれば生き残りをかける大事な試合。見応えがありそうだ。4チームとも初めて見るクラブなので、どんなサッカーをするのか興味津々である。
 1試合目の消防対南華は何ともひどい試合だった。試合は常に南華ペース。14分、CKからのヘディングシュートがゴールマウスにいた消防の選手に当たりレッドカードで退場。PKを落ち着いて南華は決めて、0−1とリード。ところが攻めている南華、27分にDFがイエローカード2枚目で退場になり、残り60分近くを10人−10人での試合に。南華はゲームを支配し、組織で攻め続けるのだがシュートが打てない。なにせ消防はディフェンスに6人配置している。組織ではなく数で守る壁を崩す術を持っていないようだ。攻めあぐねているうちに、消防のカウンター攻撃が徐々に効きだす。南華DFは退場後3バックになったのだが、守りの意識が低く、消防FW1人に翻弄されっぱなし。そして75分スローインからゴール前の混戦の中、消防の選手に押し込まれて同点に。南華は選手を入れ替え、再び攻撃を開始するが、とりあえず数だけで守る消防の前に何もできず1−傑志の選手1のドロー。落日の南華を目の当たりにし、ショック。
 続く2試合目。傑志10番は日本人・伊藤壇。彼は登別大谷高→仙台大を卒業後、98年JFLブランメル仙台に入団。いきなりスタメンで出場を果たし23試合出場2得点を上げる。が翌年、出場機会が減り、戦力外通告を。その後社会人リーグを経て、01年にシンガポールリーグへ。オーストラリア・ベトナムでプレーをし、今シーズン香港リーグの傑志へ移籍。試合前までに5得点、1月のカールスバーグ杯では香港選抜の1人となって国際デビューも果たした。今回の旅行は香港サッカーのレベルも見たかったが、彼の活躍する姿を見たく日程を作ったものなのである。
 伊藤選手は2列目右でスタート。流浪も傑志も上位にいるだけあって、まともなサッカーをしている。特に傑志は組織で攻め守りをする、香港では珍しいチームだそうだ。傑志は最初押されるが、徐々にペースを握り出す。伊藤選手も前線からしっかりプレスをかけ、チームの動きとしっかりマッチしている。またドリブルやパスで流れも止めていない。試合中、ベンチから彼に左サイドへ移るように指示。これが先制点に繋がる。36分、左サイドに流れた伊藤選手からのクロスに傑志18番がゴールを決め1−0。思わず手を叩いて喜んだ。もちろんセンタリングにであるが。前半は1−0で折り返す。49分にゴールキックからのセカンドボールを流浪が奪うと19番が持ち込みゴールを決め同点にされるが、51分にオフサイド気味のボールを受けた7番がGKを交わしゴール、77分には途中出場の3番からのパスに22番がシュート、一度はGKつかむが手から落ちたところを再度シュートしゴール。3−1にし試合を決定づけた。伊藤選手もチームの中での信頼感があるようで、しっかりとアピールもできていた。試合内容にも満足で、まだ伊藤壇選手まだ香港サッカーも捨てたものではない、と。ただし上位チームのみだけど。
 試合後、持っていたブランメル仙台のユニフォームを掲げ、伊藤選手に激励の言葉を一言かけようと思った。ところがこちらへ来てくれて、時間があれば少し話をしませんか、と言ってくれるではないか。スタジアム外で待つ事に。少し待つと伊藤選手を追っかけている香港の雑誌の人と一緒に現れ、写真を撮りたいと。でユニフォームを手に一緒に撮影。その後、着替え終わった伊藤選手がドリンクを持って戻ってきた。そして30分ほど立ち話をする。今の香港サッカーの現状、アジアのサッカーの面白さ、日本人プレーヤーの甘さ、助っ人としての日本人の立場などを初対面の私に丁寧に話してくれた。話をしながらこれは自分自身、ひいては日本人にも当てはまるモノが多いと感じた。アピールの弱さ、言葉の問題、人に頼りすぎ等。彼はチームとの契約を自分一人で行い、プレーをする場所を探す。苦労をしているだけに得るものも多く、それが財産となってサッカーのプレーにも繋がっている。またそれが自信になっていて、彼の目は輝いていた。決して一流プレーヤーではないが、だからこそ得られたモノは大きい。日本人プレーヤーでも数少ない真のプロとしての境地にいる彼の話を聞いただけでも香港に来た価値はあった。
 太子駅で別れ、傑志のユニフォーム探しをしに旺角で探すが売っていなかった。女人街をふらつき、20時頃湾に。ホテルに置いてあったガイドブックに載っていた蘭州麺店へ。餃子・ワンタンが乗った麺と野菜を注文。麺はモチモチし、なめらかな喉越し。旨い! 思わず声を出したくなった。ホテルへ戻り、NHKのニュースで情報仕入れを。ベットの上でテレビを見ていたら、うたた寝。目覚めたら0時過ぎ。シャワーを浴びてからベッドでしっかりと寝る。

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