韓国2日目

4月11日(木)晴れ


 7時に目覚ましが鳴り、起きる。着替えてから7時40分に外へ。地下鉄に乗って30分、ワールドソウルワールドカップスタジアムカップスタジアム駅に到着する。駅から出ると目の前にソウルワールドカップスタジアムが。ワールドカップ用に作られただけあって大きいし綺麗である。何もイベントがないので当然スタジアムには入れないが、取りあえず見ておきたかったので来てみた。スタジアムの1・2階の一部分がショッピングマートになっていて、サッカーだけの物ではないようだ。スタジアムの回りを歩いていたらバックスタンド付近になるのだろうか、売店があった。ここをホームとしているFCソウルのグッズは無く、ワールドカップ関連のグッズやソウルのお土産が並んでいた。8時半くらいなのだが店は開いていてビックリ。店の中を見回っていると、ガラスドアの向こう側に何かがあるのを発見。進んでみるとそこはワールドカップミュージアム。入場料を支払いミュージアム内へ入る。中は韓国のサッカーの歴史、韓国代表のワールドカップでの戦績、2002年ワールドカップの結果やワールドカップの歴史などが展示してある。文字はハングル中心なのでわからないが、意味などは写真から伝わってくる。あまり大きくないが内容は濃い。少しわかりにくい場所にミュージアムはあるのだが、サッカー好きは見ておく価値は十分ある。来た道を戻り、地下鉄に乗る。
 ソウル中心部の明洞で地下鉄を降りてカードでお金を下ろせるATM探し。銀行のATMで使ってみるが昨日と同様使えない。一体どこならシティバンクのワールドキャッシュのカードが使えるのだろうか。3つ目くらいの銀行で「このカード使えますか?」と聞いたらチャムシル野球場シティバンクがすぐ近くにあるのを教えてくれた。すぐにそこへ向かってようやくお金を下ろせた。
 まだ朝ご飯を食べていない。時間的には朝と昼兼用になってしまうな、と思いながら明洞で店探し。粥が食べられる店があったのでそこに入る。あわび粥を注文する。白粥ベースに具材が乗っている感じで、香港や台北で食べたのとは違う、韓国独特の粥。なかなかの美味。地域で粥の種類が違うのだな、と改めて感じる。付け合わせで出てきたキムチやカクテキも旨く、韓国に来ているのだなと味わう。
 地下鉄に乗り11時30分頃ホテルへ。チェックアウトの時間も近づいている。それに次の目的の場所へ行かないといけないので荷物を整理しチェックアウト。そのついでにいくつかの日本語の文章をハングルに翻訳してもらう。これが大正解。のちに大活躍するとは思わなかった。
 地下鉄を乗り継ぎながら40分、総合運動場駅に到着。ここは野球場とオリンピック競技場のある所である。ここも駅前にスタジアムが見える、非常に交通の便が良い所である。目的は野球場見学なのだが、ここなら韓国野球のグッズを買えるのではと淡い期待も持っていた。がスタジアムの外にある店は軒並み閉まっていて閑散としていた。この日の夜に野球が行われるのでどこかグッズショップは開いているのでは、と思っていたのだが。残念。球場を1周してみるが結局何の成果も得られず。次の時間が押し迫っていたのでオリンピック競技場はちら見程度で地下鉄駅へ戻る。五輪のマークが印象に残った。
 再び地下鉄に乗り金浦空港へ向かう。14時15分に金浦空港駅に到着。昨日来た国際線とは金浦空港の国内便ターミナル反対の方向に国内線のターミナルがあるのでそちらへ向かう。こっちも国際線ターミナルへの道と同じく通路が長い。急ぎ足で国内線ターミナルへ向かう。大韓航空のカウンターへ行き、予約の紙を見せるとペラペラのチケットを渡された。ちゃんと席の番号もかいてある。飛行機に乗れる、とホッと一安心。手荷物検査を受けて搭乗口へ。ゲートは目の前だったのですぐに着いた。ゲート数もそんなに多くなさそう。飛行機は頻繁に飛んでいるのだが、少ないゲートをフル活用して搭乗させているようだ。搭乗時間まで時間があったのでヒマ潰しに近くにあったPCコーナーでネットチェック。日本の情報が知りたかったので日本のサイトを見る。
 14時50分に12番ゲートの搭乗が始まる。定員数が少ない飛行機B737-800 なのですぐに席が埋まる。定刻通りに飛行機は動き出し飛ぶ。ゲームをしてノンビリしているとシートベルト着用のサインが出る。えっ、と窓から下を眺めると下降準備に入っているのか雲の下に飛行機はいた。早いなぁ。時間にして50分ほどで麗水空港に到着。空港は本当に小さく、日本でもよく見かける地方都市の空港みたいだ。
 麗水まで来たは良いがここからが大変。まず光陽へ行くバスを探さないと。何でも飛行機到着10分後には出発してしまうという。早くバス光陽専用球場正面に乗らないと。空港を出て右側に行くといくつかバスが止まっている。これのうちどれかが光陽に行くのかな。ただ行き先はどれもハングルで書かれていて読めない・・・。ただ情報として、製鉄所の名前であるPOSCOとバスの行き先に書いてあると聞いている。それを手がかりにバスを探す。すると一番前に止まっていたバスにPOSCOの文字を発見。これで良いのかな。バスの運転手を探していると運転手らしき人がこっちに近づいて来た。メモ帳に書いておいた「光陽サッカー場」を見せるとこのバスに乗ればよいと言ってくれた(ような気がした)。よし乗るぞ。
 席に座ってしばらくすると料金を払うように言われたので支払う。そして本当に飛行機到着から10分後にバスは出発した。バスが走っているのは大きな幹線道路なのだが景色は殺風景。建物はガススタンドくらいしかない。車の往来も少ない。この道で大丈夫? と不安にもなる。走りだして20分以上経過した頃、一旦バスが止まる。後から知るのだが、ここは光陽駅で光陽市内に入っていた。そんな事は知らないのでいつになったらスタジアムのある製鉄所内へ行くのだろうか、と焦る。また幹線道路を走ると15分ほどで右折。どうやら製鉄所内に入ったようだ。緑の多い、道も広くて整備されている。トラックとかは走っていない。敷地内は綺麗で、想像していた工場内とは違っていた。しばらくするとバスの運転手がここで降りてください、スタジアムはあそこです、と案内してくれた。という事でバスから降りる。左斜め前にスタジアムを見る。想像以上に大きくない。バスで60分と言われていたが、40分くらいで到着していた。
 この時点で時計は16時50分。道路を走る車を見てある事が頭をよぎった。夜にタクシーはこのスタジアム内に設置されているグッズ売店道を走っているだろうか? 製鉄所内だからもあるが、昼間の段階でも頻繁に走っていない。夜になるともっと少なくなるだろう。じゃあ今のうちにタクシーを確保しておかないといけないのでは。しばらく道路を眺めているとタクシーが通った。止めて交渉をする。この時にホテルのスタッフに書いてもらったハングルへの翻訳文が役に立つ。「タクシーに乗りたい」にPM9:30に付け加え、「光陽駅へ行きたい」と一緒に見せる。そしてここから乗りたいと英語で言ってみるがこの運転手さんは英語が通じない。私はハングルがわからない。なので交渉はかなり時間がかかった。でも夜にタクシーに乗りたい事、光陽駅へ行きたい事はわかってもらった。そして乗る場所も今いる地点ではなく、スタジアムの前にいてくれ、とゼスチャーで会話。両者ともに納得出来たようだ。多分交渉は成立かな。来てくれると信じる。
 時間は17時を回る。スタジアムの外観を写真に撮り、フラフラと歩き回る。見た感じ川崎サポーターしかスタジアムにいないようだった。というか地元サポーターの姿はない。どこにいるんだ? スタジアムの駐車場近くに食べ物の屋台があっていろんな物が売られていた。なかなか美味しそうだ。グッズショップでは全南ドラゴンズのユニフォームが売られていた。買おうと思ったが、これから戦争をする相手のユニフォームを買うのはどうなのかと思い却下。
 チケットをスタジアムの全景購入し、入場しようと思ったがまだスタジアムにいる人の数は少ない。それも川崎サポーターしかいない。全南サポーターはほとんどいない。スタジアムに入っても暇そうだし、する事も無いようなので周辺をブラブラする。その後バックスタンド入り口付近にもあった屋台へ。昨日食べたプルコギの旨さが忘れられずプルコギを注文するがないという。店のおじさんがうどんを推奨するのでうどんを食べる。なかなかの美味で、汁が韓国風なのが新鮮に感じた。
 18時を回りそろそろスタジアムに入るか、と中へ。試合開始1時間前だというのに人の数はまばら。全南サポーターの数は両手で数えられそうで、この時点での観客数も100人くらい。人が密集しているのはアウェー側である川崎の方だけ。他は寂しい限りだ。いくら平日とはいえこんな物なのか、と驚く。ホーム側のメインスタンドに腰かけアウェー側にあるビジョンを見ながら時間を待つ。しばらくして選手たちがピッチの上で練習を始め、出場選手紹介もする。試合開始15分くらい前になっただろうか。この頃になってようやく観客の数が増えだす。結構のんびりしているのですね。でも試合開始になっても観客の数より空席の方が明らかに多く、1000人も入っているのかな、と思える感じだった。また試合開始をしてからもゆっくりと来る人たちも多く、とりあえず来ました感がプンプンしていた。
 スタジアムは海から近い所にあり、夜になるにしたがって冷たい風が吹きつけてくる。
 19時にアジアチャンピオンズリーグ第3節、全南ドラゴンズ対川崎フロンターレの試合が始まる。これで全員? 全南サポーター全南ドラゴンズは昨年の韓国Kリーグのカップ戦の覇者。この大会のために元ジュビロ磐田のDF金珍圭や元ジェフ市原のFWサンドロを獲得するなど戦力を補強。韓国代表や五輪代表も数多く所属している。またブラジルの世代代表にもなったFWサンドロ・ヒロシがいたりと怖い選手が揃っている。
 サポーターの数はアウェーの川崎の方が多く、当然のように声も川崎の方がよく響いている。韓国の国内サッカーの人気の低さが如実に表れているようだ。川崎は序盤は全南のガツガツと来る韓国特有のプレースタイルに戸惑うが、次第に慣れてくると攻撃力を見せる。29分にマギヌンがPKをゲットするとジュニーニョが落ち着いて決めて先制。全南もチャンスを作るが川崎のDF陣に阻まれる。主導権を完全に握った川崎。全南はFWレアンドロが孤立して攻撃がワンパターンになりつつある。前半川崎がリードして終わる。後半レアンドロからサンドロに入れ替えてきた全南。攻撃にリズムが出てきた感じがする。ただラストパスの精度はよくなく、ことごとく川崎DF陣にクリアされる。そんな中川崎は57分にマギヌンのミドルシュートがゴール隅に炸裂し追加点。続いて70分にカウンター勝利を報告する川崎の選手と喜びを表す川崎サポーターからジュニーニョが独走ドリブル、GKの動きを見ながらシュートを決め3点目。全南も終盤猛攻を見せるが、枠へ飛んだシュートは川崎GK川島がことごとくはね返す。ロスタイムに川崎はクリアミスから失点をするも危なげのない試合運びで勝利を収めた。アウェーで先制をし、守ってカウンターで追加点を取るという理想的な試合展開ではあったが、理想を現実化させた選手たちがいつも以上にカッコよく、たくましく見えた。
 観客は特に大きな盛り上がりもなかった。先制されて追加点も取られる。ゴール裏に陣取った全南サポーターも徐々に元気が無くなり、観客のヒートもアップしない。ロスタイムのゴールで一応の喜びは見せたが、スタジアムは川崎の応援しか聞こえない。また観客も負けたことに対して選手にブーイングを送ることもない。淡々としている。あっさりしているものだ。全南サポーターが川崎へのメッセージとして出した「Go Home!」の横断幕が寂しげだった。
 試合後全南サポーターはすぐに引き上げ、川崎サポーターはスタジアムで歓喜の歌を歌いつづける。本当にここは韓国なのだろうか。一瞬間違えてしまいそうだった。
 試合終了10分後、アウェー側以外は人の気配のないスタジアムを出て、門の前へ。まだ時間はあるがタクシーが来てくれると言う場所で待つ。頻繁ではないがタクシーは来るがすぐに人を乗せてしまう。予約をしておいて正解だった。海からの風が冷たくなってきて、厚着をしてきているのだが肌寒くなってきた。早くタクシー来ないかな、と思っていると光陽駅の駅舎予定より10分早くタクシーが来てくれた。ありがとうございます。タクシーに乗りこみ光陽駅へ向かう。車内のラジオから、日本のプロ野球の結果(というよりイ・スンヨプの結果か)を伝えていたのにはビックリ。タクシーに20分くらい乗り光陽駅に到着。本当にこのタクシー運転手には感謝であった。こんなわけのわからない日本人に付き合ってくれたのだから。この感謝の気持ちは言葉と態度だけでは表せられないくらいだ。本当にいい人だった。嬉しい気持ちで一杯だった。
 21時40分くらいに光陽駅に到着。ここから夜行列車でソウルへ向かうのだが、まだ列車が来るまで2時間近くある。暇である。駅自体も小さく、待合所とトイレくらいしかない建物。する事もないので外を歩き回る事にする。駅の近くにファミリーマートがあったのでそこで歯磨きセットを購入。どこかにネットカフェがないか歩いてみるが見つからず。そのかわり喫茶店ぽい店を発見。ここで時間を潰すか、と店内へ。少し薄暗い照明で怪しかったが、中は普通のお店だった。コーヒーを注文し、ゲームを始める。コンタクトを外し、23時過ぎに外へ出る。まだ列車が来るまで30分近くあったのでまだ暇。再び付近をぶらつく。駅の前に光陽市の看板があったので見てみると、光陽駅は市の西の端でスタジアムは東の端。なるほどこんなに離れていたのか、と看板から地理を知る。
 23時30分にムグンファ号の車内駅へ戻るがまだ改札が始まっていない。もうすぐ列車が来るのにまだなのか、と少し苛立つ。列車が来る1分前に改札開始、ホームへ。するとすぐに列車、ムグンファ号がやってきた。乗るのは2両目。が目の前を通過していく。走って2両目まで行き列車に乗る。席を探す。が席には女性が寝ている。もしかすると隣の席の人なのだろうか。とりあえず私の席の分だけはどいてもらわないと、と勇気を出して寝ている女性を起こす。するとその女性は席を移動。何だ隣の席ではなかったのか。
 昼間に飛行機に乗ってからずっと心配だった。空港からスタジアムへ行けるのか、スタジアムから駅までたどり着けるか、この列車に乗れるのかどうか、と。でも無事に列車に乗れた。バスの運転手、タクシーの運転手たちのおかげで光陽に着けて、この地からソウルへ戻れる。私と関わった全ての人たちに感謝と心の中で思う。彼らのおかげでよい旅になったのだから。
感謝以上の思いである。
 そんな事を考えながら列車内で仮眠をする。

 

韓国旅行記1 1日目へ韓国旅行記1 3日目へ